太極拳練習ノート

誰でも始められる。一人でもできる。

始めの一歩が一番難しい!

こんにちは。ねおたろうです。

 独学で再チャレンジ中の太極拳。練習中に感じたことを書き留めています。

 

自然体でいることの難しさ

物事は何事も始めが肝心ですね。

 1日の始まりも目覚めがいいと気分良くスタートできるし

漫才なら「ツカみ」が大事、100メートル走ならスタートダッシュ

始めの一歩がうまくいくと、その流れで最後まで調子よく

やりきることができますよね。

 

太極拳も出だしがとても大事だと思います。

 

太極拳の理論書として知られる『太極拳経』というものに

以下のような一文があります。

 

『本(もと)はこれ己を捨て人に従うを、多くは誤りて近きを捨て

 遠きを求む。これを謂う、差は毫釐(ごうり)、謬り(あやまり)は

 千里を以てすと。』

 

人は近くにある真理より、遠くにある誤りを求める。

そのわずかな差が、千里の誤りとなる。

 

というように解釈すれば

 

太極拳も、足早に套路を最後まで覚えるよりも

まず最初の一歩をしっかりと身に付けることが大事。

最初をおろそかにすると、最後に得るものには大きな差ができてしまう、

というメッセージにも受け取れます。

 

たとえば正宗太極拳の場合、その最初の一歩は左足から始まります。

 

両足を揃えて、両手は体のわきに自然に下げて、自然体で立つ。

その状態で静かに気を整えてから、左足を一歩前に出す。

(正確には半歩くらいでしょうか?)

そして右足を左足に添えてから肩幅に開く。

 

簡単そうに見える動作だけに無造作にやってしまいがちですが、

実はたったこれだけの動作の中にも繊細な身体バランスが求められています。

私が思うに、この型は普段あまり考えたことがない「自然体」ということを

求めているのかな、と。

 

太極拳には『虚霊頂頸』(きょれいちょうけい)が求められます。

『虚霊頂頸』とは頭頂部から首筋、背骨、腰にわたって

リラックスしたまっすぐな姿勢のこと。

すべての基本となる姿であり、太極拳の「自然体」です。

そしてこの自然体で立つということの難しさに、太極拳の奥の深さを感じます。

 

習い始めのころ、この姿勢のときに先生に指で胸を押されたことがありましたが、

たったそれだけでぐらついてしまいました。

 

「後ろに押されても軸がぶれないように」

 

そう指導していただきましたが、体全体の調和がとれていない証拠だと

感じました。うまく言えませんが、身体が一体となっていないというか。

 

それからというもの、この動作を家に帰ってからしつこく復習してましたが

なかなかしっくりきませんでした。だから、そこから先になかなか進めない。

A型のなんでも気になる性格が影響しているのかもしれませんが。

 

今でもこの「自然体で立つ」という身体操作は一番難しいと感じています。

 

目を閉じてやると、体のブレがよくわかる

足を一歩前に出して、足を肩幅に開くだけですが

この動作を目を閉じてやってみると身体を正確に動かせていない、

身体感覚の甘さというのがよくわかります。

 

実際にやってみると動作が完了した時に、右足と左足がきちんと

平行になっていないことが多いです。

 

あと細かいことですが、両肩が平行になっているかとか、

顎が上がっていないかとか、おしりが出ていないかとか、

いろいろとチェックポイントがあります。

ゆっくりした動きの中で、いかに自分の体の動きを正確にコントロールするか、

その難しさを感じます。

 

ひとつひとつの動作に意味がある

2011年に、女優の水野美紀さんが中国で陳正雷老師から陳式太極拳養生功18式)を

学ぶという番組(NHK「まる得マガジン 体と心を開放!水野美紀と本格太極拳」)が

放送されました。

 

あの陳正雷老師に直接指導してもらうという一般人としてはなんとも羨ましすぎる

企画ですが、套路の練習で第1式に入る前の予備式、いわゆる自然体でいるときの

陳正雷老師の言葉に私はびっくりしました。

 

「目はまっすぐ前を見て、耳を澄まし後ろの音を気にして」

 

水野美紀さんも一瞬「えっ?」というような表情をしていました。

 

「後ろの音? なにそれ?」

 

って感じです。

 

ただ立ってるだけじゃない。型に入る前から、心の持ちようというか

精神統一的な意味合いがあるのだなぁと、あらためて太極拳の奥深さを感じました。

(しかしなぜ後ろの音を気にするのか、私にはわかりません^^;)

 

太極拳の型のひとつひとつに様々な武術的、健康的な意味があります。

そのひとつひとつを噛みしめながら練習を続けられたらいいなと思います。

 

ちなみにこの番組を再編集したDVDが販売されているので

そのうち購入して太極拳の見識を深めようと思います。

 

 

 最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、今日はこのへんで。